カメ飼育 濾過器・フィルターの役割や仕組み クサガメ

クサガメの飼育器具

カメや熱帯魚に使う水槽の濾過器(フィルター)について|役割や必要性・仕組みを解説!

クサガメ飼育歴15年のYamaです。
それ以外にも日淡魚や熱帯魚・肉食魚・水草と色々とアクアリウム経験なんかも実はあります。
 
今回は水槽に入れる濾過器(フィルター)のお話。
濾過器は水を綺麗にする役割なのはご存知かと思いますが、実は色々な要素が働いて水を綺麗にしてくれています。
それらを少し詳しく知ることでフィルターのパワーを維持し、工夫次第ではパワーアップも図れ、より良い飼育環境を作ることへと繋がるでしょう。
 
この記事では、基本的な濾過器(フィルター)の役割や仕組みについて詳しく解説していきます。
 
【この記事は水棲カメに限らず、その他アクアリウム水槽に使う濾過器(フィルター)でも共通する基本的なものなので参考にしてみてください】

 

濾過器(フィルター)の役割・必要性

濾過フィルターの一番の役割は、水中の汚れを効率よく取り除き水を綺麗に保つことです。

使用することで水質がよくなり、水換え回数も減らせるので生物へのストレスも軽減されます。ニオイなども抑えてくれるので飼い主さんへのメリットも大きいと言えるでしょう。

 

それ以外にも、水槽内の水の循環を循環させることによって水が腐るのを防いだり、冬場ではヒーターで温めた水を水槽内に行き渡らせてくれる役目も果たしてくれるのでぜひ使うことをオススメします。

 

濾過器(フィルター)の仕組みについて

濾過フィルターは大きく分けて物理濾過・吸着濾過(化学濾過)・生物濾過この3つの役割でできています。

それぞれに分けてみていきましょう。

 

物理濾過

これは餌の残りやフンなど(主に目に見える汚れ)を濾過器内のスポンジやウールマットに引っ掛けて、汚れを濾し取る濾過になります。

 

↓物理濾過のイメージはこんな感じ

物理濾過イメージ

まず濾過フィルター内に入ってきた汚れを乗せた水は、最初にこのウールマットで大きなゴミをキャッチし濾し取っていきます。

マットにはゴミがたまって行くので、定期的にたまったゴミを掃除してあげないと目詰まりを起こしてフィルターの濾過能力も下がってしまいます。

掃除機と同じでフィルター掃除しないと吸引力が落ちてしまうのと一緒ですね。

 

↓物理濾過の実際の例

これは外部式フィルターの給水部分に取り付けたフィルタースポンジです。

目に見える大きな汚れをここでまず濾し取っています。

エーハイムフィルター ストレーナースポンジ

さらに濾過槽内にもウールマットが入っているためここで取りきれなかったゴミをキャッチします。

 

↓エアポンプ式の投げ込みフィルターの内部

水作エイト使用前使用後

目詰まりしたら、水洗いしてゴミを取り除きます。また水洗いでも汚れが取りきれなくなったら、新しいものに交換しましょう。

 

↓実際に使ってる様子と仕組み

水作エイト 仕組み

 

吸着濾過(化学濾過)

これはニオイの原因になる物質やアンモニアなど(目に見えない汚れ)や物理濾過や生物濾過では取りきれない汚れを、活性炭やゼオライトなどのろ材で吸着する濾過になります。

 

吸着濾過のイメージ

活性炭やゼオライトなどのろ材には目に見えない孔(あな)がたくさんあり、その孔の中に汚れを取り込んでいくイメージです。

ろ材も1ヶ月程使っていると、孔の中がいっぱいになって吸着ができなくなって来るため、定期的な交換が必要です。

 

↓吸着濾過に使われるろ材(キョーリン ブラックホール)我が家もずっと愛用

キョーリン ブラックホール

↓ろ材を拡大したイメージ

 
マクロ孔やミクロ孔に物質を吸着していきます。

 

 

生物濾過

こちらは生物が出したフンや残り餌・目に見えない有害な物質(アンモニアや亜硝酸塩など)を濾過バクテリアによって分解処理させる濾過になります。

濾過バクテリアは物理濾過・吸着濾過だけでは処理できない物質を食べて処理してくれるとても重要な微生物です。
 
バクテリアがしっかり定着しバランスよく活性すると水質が一気に安定し、水の見た目も綺麗になるだけでなくニオイもかなり軽減されます。
 

生物濾過の仕組み

↓生物濾過のイメージ(絵が下手でごめんなさい汗)
生物ろ過イメージ マット
↓↓↓さらに分解され・・・の連鎖が続きます↓↓↓
生物濾過イメージ
 
このように分解が繰り返されていきますが、最終的に硝酸塩に変わります。これはバクテリアもこれ以上処理できないので水換えで外に出す必要があります。
(水草の水槽をやっている場合は水草が吸収してくれますが)
 
生物を飼育しているとこうして水槽の水には目に見えない物質はどんどん溜まっていってしまうんです・・・
 
 
バクテリアは濾過槽内のいたるところにいますが、主にろ材やマットなどに多く住み着いています。(目に見えない)
水温や水中の酸素濃度によって活性が変わるので、水温が低かったり高すぎたり・酸素濃度が低いと働きが悪くなります。
 
また、塩素で死んでしまうためろ材を水道水で洗うといなくなってしまいます。
 

どこからバクテリアがやってくるのか・早く定着させるには

バクテリアは、空気中に漂っているため水槽に勝手に入ってきて勝手に住み着くので、何もしなくても湧いてきます。
 
水槽立ち上げの初期や水換え直後はバクテリアが少ない状態になるため、水質が安定しづらいのはそのためです。
 
 
市販品でバクテリアの入った液体があるので、初期や水換え直後に使うと早くバクテリアが定着してくれます。
 
バクテリアが定着し十分に働きだすまでには、7〜10日程かかります。

濾過器(フィルター)を使っていても水換えは定期的に必要

濾過フィルターを使っているからと言って長期間水換えを怠るのはNGです。

毎日生物に餌をあげることで水槽内の水の汚れは濾過フィルターに毎日溜まっていき、バクテリアに分解されてもそこからでる物質があるため、水換えをしないと水の中には物質が溜まっていく一方になります。


勝手に水槽内や濾過フィルター内の物質が消えていくことはありません。

そのため、定期的な水換えや濾過フィルターの掃除が必要になってきます。

濾過器(フィルター)の掃除のやり方・ポイント

濾過フィルターに汚れが溜まってきたら掃除をしましょう。ここで掃除のやり方にはちょっとしたポイントがあります。

ブラシなどで濾過槽や部品を綺麗にしていき、ろ材は水ですすぎます。

 

この時に大事なのが、この4点

・水道水(塩素を中和してない水)で洗わない

・水槽内の水温に近い温度の水で洗う

・熱いお湯や冷たい水で洗わない

・洗剤を使わない

これをしてしまうとせっかく定着したバクテリアが死んでいなくなってしまいます。

 

洗う時の注意点:バクテリアを減らさないようにする

生物濾過について少し触れましたが濾過バクテリアは塩素で死んでしまいます
 
また、急な温度変化に弱く、熱いお湯・冷たい水を使うことも控えましょう。
洗剤を使ってしまうとこれもバクテリアを死なせてしまう原因となります。
 
せっかく定着してくれたバクテリアさん達を濾過フィルターを掃除するたびに全滅させてしまうのは勿体無いですよね。
 
だからと言って「水道水を使わずに洗え!」というのもちょっと難しい問題になってきます。(井戸水を使っている家庭ならまだ大丈夫なのですが・・・)
 
ここで、バクテリアさん達を出来るだけ多く残した状態で濾過フィルターを掃除する必要があります。
 
ということで次にその打開策(妥協案?)を紹介していきたいと思います。
 

対策:ろ材は水槽の水ですすぎ・濾過器本体と部品は水道水で洗う

濾過フィルターの中で一番たくさんのバクテリアが住んでいるのは、ろ材やフィルターマット・スポンジの中です。

この部分のバクテリア達を出来るだけ残しておきたいですよね。

水道水を使っている場合の対策として、

・ろ材やフィルターマット・スポンジは水槽内の水を汲み取りそれを使って洗う。

・もしくはあらかじめ塩素を中和した水を用意して洗う。

こうすることで塩素によってバクテリが大きく減る心配が無くなります。

 

・濾過フィルター本体・その他部品は水道水で洗う。

濾過フィルターの本体や部品にももちろんバクテリアがくっついてはいますが、ろ材やマットに定着している数に比べたら圧倒的に少ないです。

ですので、本体や部品は水道水で洗ってしまっても大きな影響が出にくいと言えます。

 

またしっかり洗わないと汚れがたまりフィルター自体の性能が落ちてしまうため、結果的に水を悪くしてしまうことに繋がります。

水槽内の水を無理して使わず水道水でしっかり洗って綺麗にしてしまいましょう。

 

水槽の濾過フィルターの役割まとめ

・濾過フィルターの役割

水を循環させて綺麗に水質を保つ。

ヒーターで温めた水を水槽内に行き渡らせる。

 
・濾過フィルターの仕組み
物理濾過→大きなゴミ(フンや餌)をフィルターマットやスポンジで濾し取る濾過

吸着濾過→活性炭などのろ材を使い目に見えない汚れを吸着する濾過

生物濾過→バクテリアによってフンや餌・目に見えない物質を分解し処理する濾過

 
・濾過フィルター掃除の注意点
定着したバクテリアを減らしてしまわないように、掃除する。

→ろ材は水槽内の水を汲み取って洗い、そのほかは水道水でもOK

これらを知って実践することで水質の安定度が結構変わってきます。
フィルターを使う場合はぜひ頭の片隅に入れておいてくださいね!
 
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました!
 
 

 

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